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CONTENTS

コンテンツ紹介

いずみ第112号
2018秋

平成30年11月20日発行

内容

  • 練馬西税務署長座談会
  • 税務署からのお知らせ
  • 税制改正要望事項
  • 社長さんこんにちは
  • 税の漫画講座
  • 支部・部会・委員会活動報告
  • 東法連退職金制度のお知らせ
  • 税理士会ニュース
  • 東京商工会議所、お知らせ、編集後記
  • 故事名言、小冊子プレゼント、表紙の人

練馬西税務署にて座談会

荒井広報委員長 本日はお忙しい中、貴重なお時間をありがとうございます。練馬西税務署と法人会に共通した質問になりますが、組織としてどのようにお考えでしょうか。また、取り組み等について山下署長からお伺いいたします。

山下署長 税務署という組織においては、職員ひとりひとりが力を合わせて仕事に取り組むこと、チームワークを大切にすること、個人の能力を最大限に発揮できる環境が大切だと考えております。一方、税金に関する仕事が税務署の職員だけで全て完結するということではありません。 税務署は、国民の皆様から税金をお預かりしたり、申告を受け付けたりしている組織ですから、国民の方々に良くご理解いただいて存在するものだと思っています。そういった意味で法人会をはじめ、関係団体の方々にご支援いただく中で、練馬西税務署管内の皆様に税金についてのご理解が浸透し、税務署を身近なものとして捉えていただけるようにと考えております。

髙橋会長 練馬西法人会は練馬法人会から分離独立してから再来年で30年になります。その間、公益社団法人になり、法人会の在り方に多数の変化がありました。その一つに公益社団法人としてのガバナンス強化が挙げられます。48名の理事と3名の監事が理事の責任において理事会で審議していただき、その合意の基に進めていくという「会本来の基本」を大事にし、決まり事を幅広く情報誌「いずみ」やホームページで告知しています。更に法人会という組織を理解した上で活動し、チームワークやコミュニケーションが重要だと思います。法人会の取組としては、日本や練馬区の経済事情等を色々な形でお知らせし、東京商工会議所や練馬産業連合会とは立ち位置が違ったサポートができればと考えます。法人会は町内会の役割も担っていると思います。特に練馬西法人会は中小企業というよりも零細企業の集まりです。今後は法人会の6つの委員会で検討すると共に、支部内で便宜を図り、情報交換をすることにより、縦の関係と横の関係を連動することが必要です。それが、法人会のメリットであり強みになると思っています。

山下署長 国税というのは大きな組織ではありますが、税務署単位では、各地域にある団体のひとつだと思います。その地域に密着し信頼されることで、税金が身近になり、理解が進みます。そこから納税意識や自発的な適正申告にもつながるものと思っています。また、納めていただく税金は、その地域に限らず社会全体に大きな貢献をいただくという結果につながります。大きく納税できたということを誇りに思っていただけたらいいですね。

髙橋会長 納税出来るという事は、それだけ儲けさせていただいているという証でもあり、儲けさせていただいた以上に税金がかからない事は無いですから。
 

山下署長 髙橋会長が言われるように、事業活動がうまくいかなければ、納めるべき税金もありません。残った利益の中から社会全体に還元していただくことで社会が成り立ち、ひいては企業が成り立っているというプラス思考で考えていただけたらと思います。

荒井広報委員長 次に、チームリーダーとしての組織の強化の観点からお願いします。

山下署長 職員全員がメンバーと考えると、署長はそのチームのリーダーとなります。リーダーとしては、メンバーから信頼・信用される中で同じ目標に向かって組織を引っ張っていかなければなりません。いくらリーダーが手を引いても、職員がついてこなかったり、目標が乖離(かいり)していると、組織は全然機能しません。まずは、我々税の職場として、どこに向かうのかという方向性を明示し、同じ気持ちで一緒に動くことが一番大事だと思います。

髙橋会長 私もチームワークをいかに取れるかというのがリーダーとしてのひとつの要素だと思っています。理事の方々がどれだけ認識して共有意識を持って物事を進めていくかという事は、チームワークの要と思いますし、それを作るのがリーダーとしての役目と思っています。リーダー一人がどんなに頑張っても、その一人の力で出来る事というのはたかが知れています。お酒を飲みながらざっくばらんに話したら、『あ、そうだよね』みたいな、新しいアイデアが出る。私はそのアイデアをいかに実現化するかというところにリーダーとしての「気づき」があり、常に「どうしたらよいかという思い」を持って、組織の黒子となって働くのがリーダーなのかなと、最近思っています。

山下署長 組織の向かうべき方向と言うのは、職員全体のコンセンサスを得る必要があります。向かうべき方向が異なると個人個人がいくら頑張ってもお互い引っ張り合って前に進まない…といった話にもなりかねません。リーダーは皆と気持ちを同じにして進んでいくためには、引っ張ったりまとめたりする、役割なのかもしれませんね。

髙橋会長 それは組織内部の部門間でも同じ事ですよね。その部門だけが良ければ良いという物ではない。その部門が良くなるためには、他のセクションの力も借りなきゃいけないでしょうし、それから成功体験を共有することによっても組織そのものが大きくなる事もあると言えると思います。

山下署長 組織の話やチームワークの話を具体的にどういうことが求められているのかを伝えるときには、私は自分が好きなサッカーを引き合いに出して話をしています。例えば、今年、ワールドカップの日本代表の監督が交替した際には、報道にあるように選手とのコミュニケーション不足だったとありました。コミュニケーションが不足しているということは、組織として同じ方向に向かうことができなかったのかとイメージが沸きやすい気がします。一方、一つの目標に向かってうまくまとまった時には、想像以上の力を発揮できる。その結果として、日本代表は決勝トーナメントに進めたと思っています。このように組織論を語り合うには、サッカーはわかりやすいですね。スポーツ論で言うと、野球型なのかサッカー型なのかとよく比較されますが、野球は監督の判断でバントをしたり盗塁のサインを送ったり・・・試合中でもある程度は監督が細かく指示できます。ところがサッカーは、ピッチに送り出すと11人が個々に走り回る。税務署もそれと同じで、仕事中は署長がどんなに口うるさく言ったところで現場には届きません。各々の現場で個人がしっかりやって、きちんと考えて判断することを大切にしたいなと思っています。職員の能力を活かすためにも、まず自分で考えて行動する組織にして行かざるを得ないということがあります。例えば窓口での対応、あるいは調査、徴収の場面においては、納税者の方々にとっては、その職員こそが税務署となります。そのため、ひとりひとりの職員が信頼に足る人物でないと、税務署自体も信用されなくなります。税務職員としての気概と使命感を持って職務に努めるようにと思っています。

髙橋会長 それは法人会も一緒です。法人会としての理想は、あの人が会員ならば私も入りたいと思う組織にしたいですね。特に会長として、下手な事は出来ないなと改めて思います。

山下署長 最近の税務署の職員構成を見ると、経験のある中堅層が薄くなっている状態です。若手が増えてきてくれてはいるものの、その若手にも中堅くらいまでの仕事を求めざるを得ないような状況もあります。そこで、現在は若手を中心とした経験の浅い職員の人材育成が非常に大事な課題でもありますし、かなり力を入れているところです。

髙橋会長 法人会の役員も会員も、法人会というのはどういう組織であるかを充分に理解していない。自分の事が解っていないのに会に勧誘するというのも変な話ですよね。理事の人達が知らなければいけない事、会員の方には知っておいてもらいたい事、そういった共有認識や情報をどう伝えるかといった様な事を達成しないといけないと思っています。

山下署長 税務署の職員も、税務職員がどうあるべきかといったようなこと、国民の中でどういう見られ方をしているのか、これは人間論も含まれていますが、税務職員たる立ち位置のようなものを若い頃からしっかり自分でわかっている必要があると思います。単に事務をこなすだけの税務職員では信頼につながらないと思って おりますし、人財育成の面においても大事であると思っています。

髙橋会長 それは生き甲斐にも繋がりますよね。

山下署長 知識も経験の少ない若手職員にとって、何が一番大事かといえば、「意欲」だと思います。取り組む気持ちがあれば、必ず成長につながり、自己研鑽を含めてしっかり前に進むことができると思います。そして、経験を重ねられるような人を作っていかないといけないと思っています。5年・10年と経ったときに、知識や経験がしっかり積みあがっていれば、より信頼される職員になると思います。

荒井広報委員長 今はスマホなどの普及により、マンションの一室の机一つで商売ができることも可能になりました。若い人達にはそれが普通なのでしょうが、どういう目的を持って事業をするのか考えさせられます。

山下署長 世の中には、お店があって外から見える形だけの商売だけではなく、色々な事業形態がありますので、外からは見えにくい無店舗の事業も少なくないですね。しかし、同じ社会を通じて事業をしているという点では変わりはありません。社会との関わり合いを切り離しては利益も出ないと思います。その中で、そのような方々が法人会の活動にどのように関わっていただけるのかという点は、非常に大事だと思います。企業は法人会への参加を通じて税務に対する理解をいただくとともに、税金に対するご意見もいただきたいと思います。

髙橋会長 法人会の青年部会では小学生を対象に租税教室をやっています。我々の時代と違って今の子供達は、税に対する意識というのを本当にきちっと持っており頼もしく思っています。そういう子供達を見ていると、我々の今の日本が申告納税制度に支えられているという事を再認識させられます。税に対するPRというのは、色々な角度から行っていかなければいけないと思いますね。

山下署長 先日実施された法人会の公益事業委員会主催の税金○×クイズは、小学生の多くの皆さんが参加されていました。しかも、低学年の児童の皆さんもある程度税について理解してもらっているようでした。このような草の根的な活動は、集まってくれた小学生に対してだけではなく、地域での税金に対する意識を高めていただいていることはありがたい活動だと思います。

荒井広報委員長 それでは7月に着任して「練馬」についてどんな印象をお持ちですか?

山下署長 練馬区は、閑静な住宅街、そして緑の多い、ベッドタウンなのかなという印象を持っていました。ここに来て新たに感じたことは、比較的若いファミリー層がベビーカーを押しながら歩いている方が多く、何か活力のある地域だなという点です。そしてもう一つ、練馬区自体がアニメの町だというのは聞いておりましたが、大泉学園駅のアニメ関係のモニュメントを実際に目にすると、アニメ世代の私からしたら妙に懐かしく感じると同時に、楽しく明るい地域という印象を受けました。

髙橋会長 練馬の法人会は会員の固定と言う部分については、古くからの経営者が多いのかなと思います。私個人の感覚では、経済についてこれからどういう経済産業を伸ばしていくのかという目標が、まだ発展途上なのかなという様に思います。アニメの区というのであれば、どういった未来像を作っていくのか。そういう意味では練馬区というのはまだまだ伸びしろのある地域だと思います。法人会としても今ここで、将来像を考えて方向性を策定しないといけないと思います。

荒井広報委員長 署長から練馬西法人会に期待する事はありますか?

山下署長 この地域での税金に対する理解が進むように、今後ともご支援をいただき、納税の義務という、同じ方向に向かってともに進めるようにと願っております。そしてもう一つは、練馬西税務署が信頼されるためにも、税務行政に対するご意見やご批判を聞かせていただきながら、より良き税務行政のために役立てていきたいと思っています。

荒井広報委員長 最後に、髙橋会長に支部を強化するための取り組み方を伺います。

髙橋会長 昨年、私の会長方針として三つ出しています。その一つが顔の見える法人会。二つ目は広報力の強化、三つ目は部門間の連携。今年新たに支部の強化を付け加えました。この支部の強化の基となるのは「顔の見える法人会」という部分で、法人会は、会員として活動しなければ殆どメリットはありません。例えば支部活動に参加する。或いは本部の事業に参加する事によって、「ああ良かったね」という話が出て来る。全く活動しない或いは申込書だけ書いただけで「名簿には載っているけれど社長さんの顔が全然見えないね」というのは止めましょうと。最小限、支部に行けば誰か知っている人がいる様な会にする事で、支部を強化したい。というのは、練馬西法人会は七つの支部がありますが、この地域の特徴はみんな違うのですよ。各支部のキャラクターをもっと大事にして、支部としての結束力を上げてもらいたい。それが練馬西法人会のトータルとしての力になると思っておりますので、支部の強化というのは、会の底上げのためには一番大事な事と思っています。

山下署長 各支部が特色を活かして活性化すると会員の方々も参加しやすくなるでしょうし、法人会の活動に参加する事自体がメリットだという事も充分感じていただけると思います。多くの会員さんを巻き込んでいければ、また新しい会員さんも含めて更に大きくなっていく事と思います。

髙橋会長 私は会長をやらせていただいて思うことは「周りのスタッフに恵まれているな」と改めて思っています。スタッフの方がやっていただいた実績というのが自分自身の目標達成にも繋がってくるわけですから、その事は忘れてはいけないと思います。

山下署長 税務職員もひとりひとりが調査や徴収の仕事を適正かつ公平に行わないと信頼を失ってしまいます。納税者の皆様にそういう姿勢を見ていただく事で、どの納税者に対してもちゃんとやってくれているんだという「信頼性」の一つ一つが納税者の皆様に評価されて、税務署に対する信用・信頼に繋がっていくと思います。

髙橋会長 本当にその通りだと思いますね。そういった意味では、税務署に親しみを持ってもらうためのパイプ役も我々がしていかなければと思います。今後とも法人会と税務署と共に協力していきたいと思っています。

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